デンタルトピックスQ&A

10. 唾液はとっても大切です


 体には多数の「腺(セン)」と呼ばれるものがあり、消化・呼吸を営んでいます。これらの腺のうち口の中にあるものを唾液腺といい、そこから分泌されるものを唾液と言います。唾液腺は、口の中に多数存在し、小さな腺「小唾液腺」と大きな腺集を作る「大唾液腺」があります。唾液のほとんどは大唾液腺から供給され、成人一日の唾液量は1000〜1500mlにもなります。

唾液は約30%が耳下腺(おたふく風邪で腫れるところ。頬の粘膜を舌で触ると、小さな突起がわかると思います。これが耳下腺の出口です。)、約65%が顎下腺(前歯の裏側のあたり)、約5%が舌下腺(舌の裏側)から供給されています。これでいつでも口の中が潤っているのです。
 
唾液は、視覚、嗅覚、食物刺激などによる自律神経の副交感神経刺激によって多くは漿液性唾液(サラサラした唾液)が分泌され、緊張などの交感神経刺激(消化液分泌を抑制)によって主に粘液性唾液(ネバネバした唾液)が分泌されます。

食事の時に良く咬むことで舌や顎を動かす筋肉が刺激され、またゆっくり味わうことにより味覚刺激などが唾液核を刺激し、唾液分泌を促進します。
また、ストレス刺激では分泌抑制作用が働くためA)が精神的ストレスの新しい指標として注目されています。

〔唾液成分・機能〕

唾液の99%は水分で、その他の成分として唾液タンパク質があります。この唾液タンパク質には、アミラーゼ(歯の表面や食物のデンプンの分解・消化作用)、リゾチーム、ラクトフェリンなど(抗菌作用で感染を防止する作用)、ムチンなど(粘膜を保護し、発音、嚥下の補助作用)これらが重要な機能を果たしています。また、唾液にはプチアリンというでんぷんを分解する酵素が含まれています。そのため、食べ物を良く咬んでいるとプチアリンの働きによりデンプンが糖に分解されて甘味が感じられるようになります。
その他にも歯の石灰化を調節して歯質の成熟や保護に役立つもの、口の中を酸から守り中性に保つ緩衝作用もあります。

このように唾液の中には大切な物質が多く含まれていて色々な働きをしています。唾液の様な働きは、歯磨き粉やうがい薬ではとてもとてもまねできません。
たまに自分の唾液に感謝するといっぱい出てくるかも知れませんよ。









「what's New No.68」を追加しました。

最終更新日 2014年8月4日

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荒木大介 院長・医学博士
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日本アンチエイジング歯科学会 認定医